今までの物語は、古事記、日本書紀に書かれている物語の中で、大国主神(おおくにぬしのかみ)のお話として因幡の素兎(いなばのしろうさぎ)から始まり、須佐之男命(すさのをのみこと)から告げられたお名前である出雲の国つ神である大国主神(おおくにぬしのかみ)を名乗ったところまでお話ししてまいりました。
大国主神の御名前は、幾つも変わっていきましたが、それは幾多の苦難を乗り越え、御名前が変わるごとに、若かった大穴牟遅神(おおなむじのかみ)が神として大きく成長され、偉大な大国主神になられたと、前話にも書いてありますが、ここで話の角度を変えて、神々の誕生から日本の国の生い立ちにと、お話を始めていきたいと思います。
今回は、古事記、日本書紀の話を、これから始まる物語の冒頭に少し述べてみましょう。
古事記は、日本最古の歴史書で、神々から天皇家の系譜についての物語を天武天皇の勅命により稗田阿礼に暗誦をさせ、太安萬侶が記録・完成させたものです。奈良時代、元明天皇の時代に完成した国内での歴史書として編集されています。また、古事記に登場する多くの神々は、日本の神社で祭神としてお祀りされています。
日本書紀は、日本の歴史書として天武天皇が作成を命じ、これを受けた川島皇子らが編纂し舎人親王らによって、奈良時代の元正天皇の時代に完成させた、神代から持統天皇までの歴史を記述したものです。
当時は、唐との交易をしていたので、遣唐使により唐へも日本書紀の写本が運ばれたと言われています。そこで、古事記は国内向けの歴史書であり、日本書紀は国外に向けての日本正史と言えるのでしょう。
では、次回から物語に入ってまいりますので、お楽しみにして下さい。