【出雲民話#001】因幡の素兎(いなばのしろうさぎ)3
「死と再生の受難 根の堅州国への逃避」
その後も迫害は続き、八十神(やそがみ)は大穴牟遅神(おおなむじのかみ)を、今度は楔を打ち込んだ大木の割れ目にだまして入らせ、大穴牟遅神が割れ目に入った途端、楔を外したので大木に挟まれ、再び殺されてしまいました。
しかし、その時も母神の必死の助けにより蘇生できたのですが、母神は大穴牟遅神がまた殺されるのではないかと身の安全を案じ、木国(紀伊)の大屋毘古神(おおやびこのかみ)のところへ「一時身を隠しなさい。」と手はずをしてくれました。だが、そこも八十神に見つかり、再び襲われたので、大屋毘古神は「仕方ない、ここも危ないので、須佐之男命(すさのをのみこと)が支配している根の堅州国(ねのかたすくに)へ逃げなさい。」と送り出しました。
大穴牟遅神は、急いで根の堅州国へ逃げたのですが、そこは地下にあり、死者の国である黄泉の国と同じとも言われている場所でした。